「君、昨日私のこと助けてくれたでしょ、それはすごく助かったんだけど、もう一つ、お願いがあって…」
「……何？」
「昨日の事は、内緒にしておいて欲しいんだけどね」
別に言うような相手もいない。
「…何で？」
「えー、どうしよう。ここから重い話になるけど、いいなら話すよ。ただし、誰にも言わないっていう約束で」
「……別にどっちでも」
反応云々言っていたから、なんとか会話をつなげた方がいいのかと思って『何で？』と訊いただけであって、彼女に興味があったわけではなかった。
「……私ね、ちょっと病気でね」
彼女はそう言うと、この場に似つかわしくない笑みを浮かべた。
「だけど、周りに知られたくなかったから、だから君に黙っててほしいって、お願いしたんだ」
「……別に話すような相手もいないし」