4.
今日は土曜日。
学校もなくて制服も着なくていい楽な日。
でも窓の向こうを覗いてみれば空は暗かった。
これじゃ、星が見れない……。ふとそう思い、ベッドに腰掛けた。
「滉晴……会いたいな……」
……え?今私、なんて言った?
会いたい?滉晴に?
無意識にその名を口にした自分の顔が熱くなるのが分かった。ベッドに転がり、布団をかぶる。
「私って……滉晴の事が好きなの?」
滉晴と初めて会ってからそれほど時間もたってない。そもそも滉晴とは公園で会って話すだけの仲であって──
……でも。
滉晴と話してると心が楽になってる自分がいて。
滉晴がそばにいてくれるから笑顔になる自分がいて。
滉晴がいるから、私はここにいれるみたいな安心ができて。
滉晴といると胸が苦しくなる自分がいて──
「……私、滉晴が好きなんだぁ」
この気持ちはそうなんだ。
私は滉晴が好き。好きなんだ。
滉晴の事を思い浮かべてみる。
「今日って、いるかな」
────……
──……
天気が悪いせいか、子供達の姿が公園にはなかった。
「結局来ちゃったなあ……」
時間は16時。曇りだから暗い。
公園のベンチに腰をかける。
……滉晴が来るってわけでもないのに。滉晴を待ってる自分がいた。
ボーッと、目に映るもの全てを見渡す。
すると公園の柵の向こう側にどこかの制服のカップルがいて、仲良さそうに手を繋いで歩いている。
笑顔で笑いあっている。見ているだけで幸せそうな2人だった。
「私もあんな風になりたいな……」
その時、頭に激痛が走った。
「っ!?」
痛い。頭が痛い。何で?
すると頭の中で誰かの顔が浮かんできた。
ぼやけてよく分からない。
でもその人は私に笑顔で笑いかけてくれている。
何かを話しているけれど、何を話しているか分からない。
「あなたは……誰、なの?」
問いかけてはみるものの、向こうには伝わっていない。
そして聞こえてなかった言葉が聞こえ、その誰かが言った。
『俺が絶対、陽葵を守るから』