「優希、お帰り。ご飯はどこで食べてきたの?」
「、駅前のファミレス」
「そう。学校は楽しい?今度、友達、先輩?まあ、どっちでもいいけど、家に呼んだらどう?夕飯くらい作るわよ」
「まあ、ぼちぼち。時間あったらね」

 階段を上って自分の部屋に入ると、ドサっとベットに倒れ込んだ。
 お母さんは、話をしないうちに歳をとったようだけど、元々若く見られる方だから、まだ、老けたと言う感じはしない。どこかしこが痛いとか言っているわけではないし、健康そうで何よりだ。
 お母さんとあんな風に話すのなんて久しぶりだった。中学に入って以来気まずくなって、中学3年間は、まともに会話もしなかったのに。夕飯を外で食べてくる、と連絡を入れたことに驚いたのか。それとも、やっぱり、見た目の問題だったのだろうか。見た目で判断しちゃいけないと、1番教えているのは、お母さん自身だと言うのに。
 お母さんは、家から少し離れた進学率の高い名門高校の教師をしている。母方のおじいちゃんとおばあちゃんも高校教師をやっていて、憧れたからだと、いつだったかはなしてくれた記憶がある。それもあって、周りの家庭より、教育方針やら、生活の制限やらが、厳しかった。特にお母さんは、一人息子の僕をしっかり育てようと、意気込んでいたようだったから。
「黒髪、、」
自分の髪をつまむ。少し伸びてきた。美容院行って切ってもらおうか。

 出されていた課題や、期限が明日の課題など、やらなくていはいけないことはかろうじて終わらせたが、気づいたら11時目前だった。センパイたちが部員になってから、人と接する機会が増えて、すでに疲れていたのだろう。そして、今日。多数の知らない人が集まる空間にいたことで、疲れがさらに重なったようだった。ベッドで横になると、数分とたたず眠りについた。