「ねーねー、まだ終わんないの?紹介文なんてすぐじゃん」
「センパイは黙っててください。僕はセンパイと違って頭が悪いんです、残念ながら」
気温が心地いい季節になった。入部してから1ヶ月が経ち、5月も終わりを迎えようとしていた。坂野センパイと狛野センパイは意外にも入部したことを隠してくれていて、僕は引き続き平穏な日々を過ごせていた。
ただ、月最後の週。僕は紹介文を終わらせるのに必死だった。季節に似合わず、無駄に汗をかきながら。
センパイたちは宣言した通り、先に部員であった僕よりもよっぽど課題効率がよく、さすが自称優等生。一方僕はと言うと、本は読み終わったものの、紹介文が苦手なのである。かれこれ1週間ほど書いているが一向に進まない。そんな僕を眺めているのに飽きたのか、その辺にある毛布やら何やらを僕にかけてきて、払い除けるのすら面倒だった僕は、見事に汗だく、と言うわけである。
「邪魔しないでもらえませんかね?」
「君が早く終わらせないのがいけないんだから」
そう言って2人で顔を見合わせ、ニヤニヤと笑う。何でか、嫌な予感がする。陰キャの勘は意外と鋭く、馬鹿にできないのだと、ここ最近で学んだ。ちょくちょく、僕にくだらない悪戯を仕掛けてくるセンパイ方のおかげで。よくわからない能力を身に付けましたとも。
「終わったぁ〜〜〜〜」
センパイにくだらないちょっかいをかけられてから2時間ほど。体温調節ができなくて風邪をひきそうだったから、毛布やら何やらは払い除け、驚くほどの集中力を発揮し、いつもの半分くらいの時間で完成させることができた。といっても、もう、5時半になりかけている。うるさいセンパイも帰ったみたいだし、早く、部室の鍵を職員室に、、、
「う〜ん」
へっ?なんか、声がした。誰かいるのか?
「あ〜、桜くん、やっと終わった?待ちくたびれて寝ちゃったじゃん」
「やっと終わったのか」
「いや、えっと、は?」
このセンパイたちは、わざわざ僕が終わるのを待ってたと?何のメリットもないと言うのに。
「何してるんですか、早く帰ったr…」
「早く行くよ!6時くらいが1番混むんだから。早く行かないと」
「ほら、行くぞ」
「あ、ちょ、ま」
荷物を持ってかれた僕は、部室の鍵を持って、慌てて追いかけることしかできなかった。本当に、何がしたいのだろう。
僕の荷物を持った坂野センパイ、その隣を歩く狛野センパイ。5時半という時間は、ちょうど夕焼けが綺麗な時間で、その2人が並んで歩いているところは、まるで、少女漫画のワンシーンだった。2人とも女性だけど。
まるで違う世界に住んでいて、まるで接点がなかったはずなのに。なんで、こんなことになっているのか。この時ほど、部活を延長して良かったと思ったことはない。この時間ならば、大抵の部活動は終わってるし、活動時間が長い部活とは、鉢合わせすることもない。あんな2人とこんな陰キャがいるところを見られたらどうなるものか。
「センパイは黙っててください。僕はセンパイと違って頭が悪いんです、残念ながら」
気温が心地いい季節になった。入部してから1ヶ月が経ち、5月も終わりを迎えようとしていた。坂野センパイと狛野センパイは意外にも入部したことを隠してくれていて、僕は引き続き平穏な日々を過ごせていた。
ただ、月最後の週。僕は紹介文を終わらせるのに必死だった。季節に似合わず、無駄に汗をかきながら。
センパイたちは宣言した通り、先に部員であった僕よりもよっぽど課題効率がよく、さすが自称優等生。一方僕はと言うと、本は読み終わったものの、紹介文が苦手なのである。かれこれ1週間ほど書いているが一向に進まない。そんな僕を眺めているのに飽きたのか、その辺にある毛布やら何やらを僕にかけてきて、払い除けるのすら面倒だった僕は、見事に汗だく、と言うわけである。
「邪魔しないでもらえませんかね?」
「君が早く終わらせないのがいけないんだから」
そう言って2人で顔を見合わせ、ニヤニヤと笑う。何でか、嫌な予感がする。陰キャの勘は意外と鋭く、馬鹿にできないのだと、ここ最近で学んだ。ちょくちょく、僕にくだらない悪戯を仕掛けてくるセンパイ方のおかげで。よくわからない能力を身に付けましたとも。
「終わったぁ〜〜〜〜」
センパイにくだらないちょっかいをかけられてから2時間ほど。体温調節ができなくて風邪をひきそうだったから、毛布やら何やらは払い除け、驚くほどの集中力を発揮し、いつもの半分くらいの時間で完成させることができた。といっても、もう、5時半になりかけている。うるさいセンパイも帰ったみたいだし、早く、部室の鍵を職員室に、、、
「う〜ん」
へっ?なんか、声がした。誰かいるのか?
「あ〜、桜くん、やっと終わった?待ちくたびれて寝ちゃったじゃん」
「やっと終わったのか」
「いや、えっと、は?」
このセンパイたちは、わざわざ僕が終わるのを待ってたと?何のメリットもないと言うのに。
「何してるんですか、早く帰ったr…」
「早く行くよ!6時くらいが1番混むんだから。早く行かないと」
「ほら、行くぞ」
「あ、ちょ、ま」
荷物を持ってかれた僕は、部室の鍵を持って、慌てて追いかけることしかできなかった。本当に、何がしたいのだろう。
僕の荷物を持った坂野センパイ、その隣を歩く狛野センパイ。5時半という時間は、ちょうど夕焼けが綺麗な時間で、その2人が並んで歩いているところは、まるで、少女漫画のワンシーンだった。2人とも女性だけど。
まるで違う世界に住んでいて、まるで接点がなかったはずなのに。なんで、こんなことになっているのか。この時ほど、部活を延長して良かったと思ったことはない。この時間ならば、大抵の部活動は終わってるし、活動時間が長い部活とは、鉢合わせすることもない。あんな2人とこんな陰キャがいるところを見られたらどうなるものか。