「手紙…?」
俺と莉里さんの住むアパートのポストに、一通の手紙が届いていた。




そこには、とっても懐かしい名前があった。



〜2人へ〜
 この手紙を読んでるってことは、2人は、いい感じなんだね?
 いやあ、仲のいい友達同士がいい感じだなんて。想像しただけで、最高だね!


 2人は、私が死んだ後も、きっと私のことを忘れないでくれたと思う。2人とも優しいから、心のどこかで、いつもちょっとは考えててくれたんじゃないかな(自意識過剰だったりしてw)。
 だからこそ、私は、莉里と優希に、幸せになってほしい。どうせ、明確な理由もないのに、なんか、私に悪いとか、心のどこかで思っちゃてるんじゃないの?幸せになるのをためらってるんじゃない?

 そんなことしないで。私は親友が幸せになってくれるのが1番嬉しい。むしろ、私のためだと思ってよ。2人は、ちゃんと、ちゃぁんと、結ばれてください。



 ちょっと早いけど言わせて。


                    結婚、おめでとう‼︎

「志穂ってば、私たちの幸せを願ってくれたんじゃないの?絶対泣かせようとしてるじゃん」
そう言いながら、俺の隣で泣き笑いしているのは、俺の恋人の、莉里。



 葬式の後。俺たちは、学校に退学届を出しに行き、自分たちで高校卒業試験とやらを受けることにし、同時に大学受験に向けて勉強し始めた。
 
 莉里は、1人でも志穂さんのような人を減らすために、医者に。そんな大そうなこと言えない俺は、あの時の綺麗な涙が忘れられず、絵を描くという道に進もうと決意した。

 俺たちは、一緒に勉強するうちに、距離が近づき、交際することになった。俺は売れない画家へ一直線だったから、今からでも進路を変えようかとも思ったけど、私が何とかするから、涙を、この世に残して。という莉里の言葉に甘えて、画家の道を極めているところだった。

 俺たちは、結婚も考えた。ただ、なんとなく、志穂さんのことが引っかかって、人のせいにしているわけではなくて、本当になぜだかわからないけれど、結婚はしなくてもいいよね、と話し合っていたところだった。

 きっと、莉里さんの親から、志穂さんの親に話が伝わり、それで志穂さんからの手紙が届いたのだと思う。





「絶対幸せになるからね」

そう誓った瞬間、俺に体から、力が抜けていった。

もう、パステルカラーが見えることはなかった。最後の思い出は、あの鮮やかなピンク色だ。