志穂さんが泣いた。

「昨日は、本当にありがとう。おかげで、好きだったよ、って伝えられた。今藍沢くん、彼女いるみたいだったし、もちろん断られたけどねw優希、私の水たまり、水色じゃなくなってる?」
「はい、。ピンク色です。すごく綺麗な」
「そっか、よかった」
「志穂、志穂。ほんとに死んじゃうの?なにか、なにか方法はないの?お金なら何とかするし、、。ねえ?」
里莉さんは、相変わらず、泣き虫だった。
「相変わらず、泣き虫なんだから。でも、私の病気は治らない。これは、もう結構前にわかってたことなの。もう、区切りもついてる。心の整理もできてる。今までありがとうね、里莉。結構長い付き合いだった。1番長く、近くにいてくれた。ありがと。一生、親友だからね」
「当たり前じゃん!志穂は、ずーっと、私のたった1人の親友だよ。これから、何があっても。志穂、本当に、大好き。今までなんて、言わないで…」
里莉さんと志穂さんは、泣いていた。ずっと。
 今まで我慢してきた分を、全部、全部吐き出すように、溢れ出すように。涙をこぼし続けていた。こんな時に不謹慎な俺は、涙が綺麗だ、なんて思ってしまった。

 こっそり、病室を後にしようとすると
「優希」
と声をかけられた。
「優希も、本当にありがとう。私に思い残しがないかどうか、確かめてくれて。このままだったら、後悔したまま、死ぬところだった。なんか、雰囲気変わったよね、。茶髪似合ってる。意外とオシャレ。全然、陰キャなんかじゃないよ」
「はい、こちらこそ。ありがとうございます」
それだけ言うと、病室を後にした。ここで俺が泣くのは、違うと思った。まだ、知り合って、半年くらいしか経ってないヤツが、10年以上も一緒にいた2人と一緒に泣くなんて、自分で自分を許せなかった。だから、俺は泣かない。絶対に。涙は、流さない。