「高瀬さん。香穂ちゃんが目を覚ましました!」

 病院からそんなふうに電話が来たお母さんは、あわてて病室に戻ってきてくれた。
 偶然だけど愛梨も来てくれていたのだった。
 
 みんなすごく驚いて私を見ていた。

 なんて良い日だろう。
 最高だ。

 お母さんはあれからずっと付き添ってくれていた。
 時間を取り戻すことはできないけどずっと一緒にいてくれた。

 ハロウィンは愛梨と一緒だったし。

 命は大切にしなくてはいけないのだと、心から思った。
 死んではいけない。
 せっかくみんなに会えたのに。
 ごめんねを言わなくちゃいけないのは私の方だ。

 そして、

「ありがとう……」

 私の記憶は、それが最後だった。