けれども私たちにとって、穏やかな時間は長く続かなかった。

 毎日のように私か愛梨の物がなくなったり汚れていたり、誰かに嫌がらせをされるようになったのだった。

 犯人は未奈美たちだろうと思っていたけど、先生に相談することは一切頭の中になかったし親にも話すつもりはなかった。

 誰かに話したところで解決なんてしないと思っていたからだ。
 
――愛梨となら嫌なことも乗り越えられる。
 
 そう思っていた。

 でも、実際の私は弱かった。

 裏庭で私と愛梨の上靴がカッターナイフで切られたのを発見した時、身も心もボロボロで、私はとうとう学校に行くことが怖くなって無断欠席を続けていた。

 相変わらずお母さんは帰ってきてもまたどこかへ行ってしまう生活を送っていたから、私の体の栄養面も最悪な状態になっていた。

 頑張って学校に行っていたはずの愛梨も、その時最悪な状況を迎えていたのだった。

「アンタさえ生まれなかったら、私はこんな不幸になってないんだよ」

 と愛梨のお母さんは言ったのだそうだ。
 酔っぱらっていたからお酒を飲み過ぎていたのかもしれないけれど、新しい彼氏に振られてしまった腹いせにそんな言葉を言ってしまったのかもしれない。

 あんなに頑張っていた愛梨でさえも、

「もう頑張れないや……」と、つぶやいた。

 私たちはある実行をするしかなかった。

 ある夜、マンションの屋上から揃って身を投げたのだ。