次に目を開けた時、ミトは波琉に膝枕をされていた。
「波琉!」
慌てて飛び起きようとしたのを、波琉のそれとなく止められてしまい、膝枕は継続中。
どうしてこんな状況にと、内心ではパニック状態だった。
「ごめんね。ちょっとやりすぎちゃった」
「やりすぎたとは?」
「これまで村の人たち全員がミトを虐げてたって聞いたから、お仕置きに村の家全部に雷落としたんだよね。でもその音と衝撃にミトが気を失っちゃってさ」
「えっ、雷落としたの? 全部の家に?」
波琉はなんの悪気もなさそうに「うん」と頷いた。
「火事とかは……」
「そこはちゃんと調整したから大丈夫だよ。生き物に危害は加えてないし、あんなところで火事なんて起こしたら、山の生き物に迷惑がかかるからね」
ちゃんと建物だけ壊しておいたよと、褒められるのを待つ子供のような顔で報告してくる。
「そうなんだ」
としか言いようがない。
少し冷静さを取り戻したミトははっとする。
「お父さんとお母さんは!?」
「ふたりなら庭にいるよ」
「庭?」
「見に行こうか」
ようやく膝枕から解放され、波琉に手を引かれて屋敷の庭に出る。
気を失っている間に、どうやら龍花の町に戻ってきていたようだ。
ゴルフでもできそうな広すぎる庭を歩くと、そこにはミトの見慣れた我が家がどーんと鎮座していた。
「えっ、どういうこと?」
「ミトも生まれ育った我が家がある方が落ち着くかと思って、一緒に持ってきたんだよ」
どうやって?とうい疑問は今さらだろうか。
なにせ相手は人間の常識にははめられない龍神様なのだから。
「まだ荒らされたリビングは直してないけど、すぐに蒼真に直させるよ」
蒼真の悲壮な顔が目に浮かぶようだ。
すると、二回のベランダから、昌宏と志乃が顔を出して手を振って来て。
元気な様子のふたりの姿にほっとして、ミトも手を振り返す。
ふたりは中の片づけをしておくというので、ミトは波琉の部屋へと戻った。
「ミトの両親はあの家が直ったらそこで暮らすって言ってるから、ミトも好きな時に行ったらいいよ」
「うん」
「でも、遊びに行くだけで、ミトが暮らすのは僕の部屋の隣だからね」
そこは譲らないという波琉に、ミトはクスリと笑った。
「なんかこの数日間で一気にいろいろなことがありすぎて、頭の中がいっぱいいっぱいかも。まだ波琉がここにいるってことが信じられない」
「ふふふ、ここにいるよ」
笑って、存在を教えるかのように手を握り指を絡ませた。
そんな触れ合いすら恋愛初心者のミトには刺激が強く、顔を赤くしてしまう。
そんな反応すらかわいいと言って、ミトの手の甲にあるアザに唇で触れたものだから、さらにミトの顔に熱が集まってしまう。
「うーん、これじゃあもの足りないな。唇にしてもいい?」
「無理無理無理!」
必死で首を横に振るミトに、波琉は「残念」と言ったが、その表情は楽しげでまったく残念そうには見えない。
「波琉は私で遊んでるでしょ」
「そんなことないよ。こうしてミトに触れて、ミトの反応が返ってくるのが嬉しいんだ。これまでは邪魔な壁のせいでミトに指一本触れるどころか声も聞こえなかったんだから」
それについてはミトも同感である。
「私も、波琉の声が聞けて嬉しい……」
はにかむように笑えば、波琉が目を見張って我慢できないというようにミトに抱きついた。
「わっ、波琉!」
「今のはミトが悪いよ。そんなかわいいこと言われたら、理性がぶち切れちゃいそう。切ってもいい?」
「絶対駄目!」
なんと怖ろしいことを言うのか。
「えー、やっぱり? まあ、時間はたっぷりあるし、おいおいね?」
そう言って、ミトの頬に不意打ちで口付けた。
「波琉!」
慌てて飛び起きようとしたのを、波琉のそれとなく止められてしまい、膝枕は継続中。
どうしてこんな状況にと、内心ではパニック状態だった。
「ごめんね。ちょっとやりすぎちゃった」
「やりすぎたとは?」
「これまで村の人たち全員がミトを虐げてたって聞いたから、お仕置きに村の家全部に雷落としたんだよね。でもその音と衝撃にミトが気を失っちゃってさ」
「えっ、雷落としたの? 全部の家に?」
波琉はなんの悪気もなさそうに「うん」と頷いた。
「火事とかは……」
「そこはちゃんと調整したから大丈夫だよ。生き物に危害は加えてないし、あんなところで火事なんて起こしたら、山の生き物に迷惑がかかるからね」
ちゃんと建物だけ壊しておいたよと、褒められるのを待つ子供のような顔で報告してくる。
「そうなんだ」
としか言いようがない。
少し冷静さを取り戻したミトははっとする。
「お父さんとお母さんは!?」
「ふたりなら庭にいるよ」
「庭?」
「見に行こうか」
ようやく膝枕から解放され、波琉に手を引かれて屋敷の庭に出る。
気を失っている間に、どうやら龍花の町に戻ってきていたようだ。
ゴルフでもできそうな広すぎる庭を歩くと、そこにはミトの見慣れた我が家がどーんと鎮座していた。
「えっ、どういうこと?」
「ミトも生まれ育った我が家がある方が落ち着くかと思って、一緒に持ってきたんだよ」
どうやって?とうい疑問は今さらだろうか。
なにせ相手は人間の常識にははめられない龍神様なのだから。
「まだ荒らされたリビングは直してないけど、すぐに蒼真に直させるよ」
蒼真の悲壮な顔が目に浮かぶようだ。
すると、二回のベランダから、昌宏と志乃が顔を出して手を振って来て。
元気な様子のふたりの姿にほっとして、ミトも手を振り返す。
ふたりは中の片づけをしておくというので、ミトは波琉の部屋へと戻った。
「ミトの両親はあの家が直ったらそこで暮らすって言ってるから、ミトも好きな時に行ったらいいよ」
「うん」
「でも、遊びに行くだけで、ミトが暮らすのは僕の部屋の隣だからね」
そこは譲らないという波琉に、ミトはクスリと笑った。
「なんかこの数日間で一気にいろいろなことがありすぎて、頭の中がいっぱいいっぱいかも。まだ波琉がここにいるってことが信じられない」
「ふふふ、ここにいるよ」
笑って、存在を教えるかのように手を握り指を絡ませた。
そんな触れ合いすら恋愛初心者のミトには刺激が強く、顔を赤くしてしまう。
そんな反応すらかわいいと言って、ミトの手の甲にあるアザに唇で触れたものだから、さらにミトの顔に熱が集まってしまう。
「うーん、これじゃあもの足りないな。唇にしてもいい?」
「無理無理無理!」
必死で首を横に振るミトに、波琉は「残念」と言ったが、その表情は楽しげでまったく残念そうには見えない。
「波琉は私で遊んでるでしょ」
「そんなことないよ。こうしてミトに触れて、ミトの反応が返ってくるのが嬉しいんだ。これまでは邪魔な壁のせいでミトに指一本触れるどころか声も聞こえなかったんだから」
それについてはミトも同感である。
「私も、波琉の声が聞けて嬉しい……」
はにかむように笑えば、波琉が目を見張って我慢できないというようにミトに抱きついた。
「わっ、波琉!」
「今のはミトが悪いよ。そんなかわいいこと言われたら、理性がぶち切れちゃいそう。切ってもいい?」
「絶対駄目!」
なんと怖ろしいことを言うのか。
「えー、やっぱり? まあ、時間はたっぷりあるし、おいおいね?」
そう言って、ミトの頬に不意打ちで口付けた。