ユナが15歳の春のことであった。

 中学校からの下校時。
 もうすぐ自宅の玄関に着くところで、
大量のペットボトルを積んだ
リサイクル業者の道幅ギリギリのトラックが、
とても急いでいたようで、
猛スピードで角を曲がって家の前の道に侵入してきた。

 イヤホンをつけて
大音量で音楽を聞きながら歩いていたユナは、
トラックが角を曲がって
道に侵入してきたことに気づかなかった。

 トラックの運転手はとても急いでいたのと、
遠くの方で雷が鳴ったことに気を取られ、
どの方角に雷が落ちたのか、
稲光を探そうと上方を見てキョロキョロして、
ユナに全く気付かなかった。

 猛スピードで突っ込んできた
このトラックに当てられ、

ユナは宙を舞った。







 近所のプリミチャイさんの奥さんが、
倒れたユナを発見し、
すぐに救急車を呼んだ。

 しかし、ユナは心肺停止後、
一週間でこの世を去った。

          ◇ ◇ ◇

 ユナの養父は、葬儀の手配をした。
 ユナの産みの母親は、葬儀には参列しなかった。
 外面が良いユナの養父も、
葬儀の日ばかりは黙って塞いでいた。
 ハナの両親をはじめとして、
近所の大人たちが葬儀の手伝いをした。
 

 ハナは、枯れることのない涙を流し続けた。
 胸が締め付けられ、時々息ができなかった。
 ハナは生まれて初めて、
人生に、こんなにも残酷な悲しみがあることを知った。
 ハナはしばらく、高校を休んだ。