ハナが小学5年生になり、
ユナが小学2年生になったある夏の日。

 ユナの母親が逢引きをしている間、
ユナはいつものように道路で絵を描いていた。

 ハナは高学年になったので、下校が遅くなったが、
いつもの可愛いユナの姿を道路に確認すると、
もうすでに家に帰ってきたような、
ホッとした気持ちになった。

 すると突然、
幅広の紫色のスポーツカーが、
猛スピードで道路に突っこんできた。

 ユナが轢かれてしまう!
 「危ない!」

 咄嗟に判断し、
長身で細身のハナは全速力でユナめがけて走り、
ユナを抱き締めて、ユナの家の前に転がり、倒れ込んだ。

 紫色のスポーツカーは法定速度を大幅に違反して、
猛スピードでハナのランドセルに
タイヤをこすりつけて道路を駆け抜け、左折した。

 
 「大丈夫だった?」
 ハナはすぐに、ユナを気遣った。

 ユナはポーっとして、
事態をよく呑み込めていないようだった。

 フワァ、とユナの茶色のボブが揺れた。
 髪の毛、いい匂い…。
 幼い少女特有の髪の匂い。
 色白で、ぷっくりしたほっぺ。
 抱き締めたときの、柔らかい躰。
 ユナの魅力に、ハナの心臓は高鳴った。