「実優、大丈夫?」

「全然大丈夫じゃないよ!」


隣に立つ朱里にしがみつき、私は心配して声をかけてくれた梨花に怒鳴った。


ここは学校のすぐ側の神社。
時刻は夜の7時半を少し過ぎたところ。

いくら真夏といえど、この時間帯になるとさすがに暗い。


今ここでお祭りでもやっているのなら話は別だけど、そんなわけもなく……。

古びて神様どころか、誰も立ち寄りそうにない小さな神社は、ただただ気味が悪い。


「ちょっと、わたしが言い出しっぺじゃないんだから、怒られても困るんだけど」

「わかってるけど……」


続々と集まる見慣れた顔のクラスメート達。

どういうわけだか今日この場所で、みんなで肝だめしをするらしい。


幽霊とかお化けとか、ホラーものは大嫌い。

出来れば参加したくなかったけど、朱里も梨花も行くっていうし、夏休み明けに今日のことで盛り上がる友達の輪に入っていけないのは寂しくて……。

私も泣く泣く参加することにした。