前原くんと日直をした翌朝。
ほんの少しドキドキと緊張しながら、私は教室へと足を踏み入れた。
それは入り口に一番近い場所に、彼……前原くんの席があるから。
昨日の今日だし、大丈夫。
「おは……って、えっ⁉︎」
私はいつものように読書をする前原くんに挨拶しようとした……のだけど、ふたりの女子に突然取り押さえられた。
「えっ、ちょっ……!」
片手に持っていたカバンは朱里に取り上げられ、背中を押すのは梨花。
グイグイと誘導されるがまま歩いて、ストンと腰を強制的に下ろされたのは自分の席。
「さーて、聞かせてもらいましょうか!」
「昨日、人が部活に行ってる間に、良いことがあったんだって〜?」
ニヤニヤと、いやらしい笑みを浮かべる友人ふたり。
その様子に、何のことを言っているのか、嫌でも見当がついてしまった。
「ちょっとふたりとも落ち着いて。昨日、田澤くんとは日誌書いたりしてないよ」
これ以上面倒なことになるのは嫌だから、自分から口を開く。すると、「えっ⁉︎」と驚いた声を上げたのは梨花だった。