コンコン。


「実優、起きてる? お昼ご飯は……」

「いらない!」


部屋のドアをノックして、聞いてくれたお母さん。だけど私はひと言返事して、布団を被る。


今日は月曜日。
なのに家にいるのは、お腹が痛いと嘘をついて学校を休んでしまったから。


「そう……何かあったら言ってね」


静かな声を残して、遠ざかっていく気配。

パタンとリビングのドアが閉まった音が聞こえて、私は布団の中から顔を出した。


窓の外を見てみれば、眩しいばかりの青空が広がっていて、咎められるみたいに胸が苦しくなる。

別に学校に行きなさいって、誰かに強要されたわけじゃない。

むしろお母さんは、休みたいなら休んでいいって雰囲気だった。

きっと担任の先生から連絡があって、事情は何となくわかっているんだろう。


それでも、こうして嫌悪感でいっぱいになっているのは、このままじゃダメだと自分自身が思っているから。


逃げたってどうしようもない。
それに今は受験に向けた大切な時期。

行かなくちゃ……。

そう思った私は、いつも通りの時間に起きて、一度は制服に腕を通した。

でも……。