人間の偽りのない気持が垣間見える、という場面を流れの中に見いだすのは偶然でもある。
 あまり無邪気過ぎても面白くない。
 社会生活を送るために、我慢していることや、取り繕っていることがちょっとズレていく感じである。


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【サブタイトル】
大人は幼児にも劣るときがある。残念ながら。

【本文】
「きゃあぁ。ひやあぁ」
 幼児はよく遊ぶ。
 一日中、奇声を発しながら、支離滅裂な言葉が口からあふれだしている。
「あのね。そのね。あのね」
 言葉がなかなかでて来なくて、前置きが長い。
 そして、言いたいことは大したことがない。
 ブロックを組み立てたり、絵を描いたり、中高生よりもよほどクリエイティブな遊びをしている。
 ときどき、
「家族ごっこしよ」
 というのでドキリとする。
 思春期に「家族ごっこ」と口にしたら、家庭生活が茶番だといっていることになる。
 これはどうやら「ままごと遊び」のことらしい。