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奏多と会うのに、なんでこんなにドキドキとしているのかわからなかった。

家族以外と出掛けるのは緊張する。

わたしは奏多のことをまだよく知らないし、つまらないと思われたらどうしようって不安になる。
きっと、だからだと言い聞かせた。


なぜ奏多と出掛けることになったかと言うと、電話をしたときに、お金を返す返さないで押し問答になり、折れた奏多が提案したのは、「じゃあ、そのお金で遊びに行こう!」だったからだ。


てっきり、どっかのカフェでちょっと話をするとかだと思ったのに。なんでもテーマパークに連れて行ってくれるらしい。

哲弥さんという友達とその彼女さんも一緒に行くことになり、それをお姉ちゃんに相談すると、「ダブルデートじゃない!」と喜んでいた。

わたしはそれを聞いてさらに緊張が増してしまった。



指定されたのは、動きやすい格好。

わたしより張り切ったお姉ちゃんに準備して貰った、ズボンと薄手のセーターに着替える。
奏多に買って貰った口紅を塗り、髪の毛はゆるく1つにまとめて貰った。

スニーカーを履き、ショルダーバッグを肩から斜めにかけ、白杖を持つと玄関を出る。

車で迎えに来てくれるという奏多を待った。

テーマパークは家族と五年前に行ったきりで、戸惑いつつも、ちょっと楽しみにしていた。

まさか、同年代の友達と一緒に出掛けられるなんて。