結璃菜は服を着ると床に下りて土下座をした

「どちら様か存じ上げませんが申し訳ありません」

彼の手が私の顎をつかみ顔はあげられた

「土下座なんてしないでよ……そっか俺の名前も覚えてないのか」
「すみません……」
「ちょっとショック……かな」

彼は部屋の電話の受話器をとった

「朝食をお願いします」

隣の部屋に行くとすぐ戻ってきた
手には名刺を持っていて渡された

「結璃菜の鞄にもこれが入ってるから後で確認しておいて」
「はい……書道家…ゆうきあおぐも?さん?」

「蒼い雲と書いてそううんと読む」
「そううんさん……蒼い雲ってないですよね?」

「ハハッ確かにな……でも書道をする人は雅号っていうのが付くんだよ」
「雅号?」

「ん〜芸名みたいなもんかな」
「なるほどです……結城さんて呼んだのは少し思い出した気がしますね」

結璃菜は昨夜の事の所々記憶が戻ってきた
でも会話はまだ全然思い出せない

「俺との会話を覚えてないのかー」
「申し訳ありません」

「それは秘書課の謝り方?」
「はい……私仕事の事まで話したんですか?」

「結構俺は結璃菜の事を知ったよ(笑)」

彼は立ち上がって手を出してくれた

「隣の部屋にソファーがあるからこれからの事を話そうか」

これからの事?
言われるままにソファーに引っ張られてきて隣同士に座った