午前十一時過ぎに、南田が前日と同じいで立ちで作業所にやってきた。作業所の雰囲気が何となく落ちつかなくなった。南田は東京の本社からメールに添付されて送信されてきた見積もりファイルをプリント・アウトして小脇に持っていた。最初に、電信グループ主任の松山に電信関係の見積もりのコピーを、ひと言ふた言添えて手渡した。次に副プロジェクト・マネージャーでステーション・エンジニアの吉川に車両関係の見積もりのコピーを短いコメントを付けて届けた。手渡す際に、なにやら符牒のようなことも申し添えていたが、土岐には聞き取れなかった。帰り際、土岐と丸山の机のところにやってきた。
「今夜、うちの事務所で簡単な打ち上げをやるんですが、お二人いかがですか?土岐さんはプレゼンの準備で大変かもしれないけど。六時ごろから始めようかと思ってるんですけどね」
丸山が目を弓のように細めて嬉しそうに答えた。
「ぼくは必ず行きます。・・・土岐さんどうします?」
と土岐の顔を横目で捉えた。土岐が数秒のあいだ逡巡していると、
「大使館の白石さんと西原さんも呼んであるんです」
と南田がすこし苛立ったように返答を督促する。丸山も言い添えた。
「土岐さん、レポートの作成で大変だろうとは思うけど、挨拶だけでもしたほうがいいと思いますよ」
とこれまでの丸山にしてはすこし押し付けがましいような言い方だった。土岐は重苦しい気分で承服した。
「では、ご挨拶だけでも・・・」
それを聞くと、南田は作業所をあわただしく出て行った。それを見届けて、丸山が口を開いた。
「今夜、うちの事務所で簡単な打ち上げをやるんですが、お二人いかがですか?土岐さんはプレゼンの準備で大変かもしれないけど。六時ごろから始めようかと思ってるんですけどね」
丸山が目を弓のように細めて嬉しそうに答えた。
「ぼくは必ず行きます。・・・土岐さんどうします?」
と土岐の顔を横目で捉えた。土岐が数秒のあいだ逡巡していると、
「大使館の白石さんと西原さんも呼んであるんです」
と南田がすこし苛立ったように返答を督促する。丸山も言い添えた。
「土岐さん、レポートの作成で大変だろうとは思うけど、挨拶だけでもしたほうがいいと思いますよ」
とこれまでの丸山にしてはすこし押し付けがましいような言い方だった。土岐は重苦しい気分で承服した。
「では、ご挨拶だけでも・・・」
それを聞くと、南田は作業所をあわただしく出て行った。それを見届けて、丸山が口を開いた。


