@土岐明調査報告書・現地第2日目、午前8時過ぎ、プロジェクト・メンバー全員と顔合わせしました。プロジェクト・マネージャー・王谷恵一、副プロジェクト・マネージャー・吉川和夫、電化エンジニア主任・松山幸一、その部下の電化エンジニア・川野文雄、運行エンジニア・山田光三、軌道エンジニア・高橋紘、電信エンジニア・浜田誠一、信号エンジニア・畠山孝雄、輸送エコノミスト・中井富士夫、土木エンジニア・丸山憲一、私のカウンターパートである国鉄財務部副部長・カッシー・シュトゥーバ。ODAを食い物にしている首謀者に関する報告は特にありません。確証はありませんが、印象としては、プロジェクト・マネージャーの王谷が怪しいように思えます。午後7時過ぎ、シュトゥーバ宅にて夕飯をごちそうになりました。ところでミッションには、首謀者を密偵するようなことがありましたが、それには日本人以外も含まれるのでしょうか?@
翌朝、
〈Kakusifile〉
から返信があった。
@首謀者の調査に外国人も含まれるかどうかというお問い合わせですが、日本人に限定して調査をお願いします。特に、プロジェクト・マネージャーの動向に注意してください。今回のプロジェクトは、日本の高度経済成長時代に成功をおさめ、バブル経済崩壊以降、我が国の累積債務を膨張させてきた公共投資産業をそのまま輸出する形になっています。こうしたプロジェクトがBRICsなどの新興経済に対するものであれば、それなりの意義はあると思われますが、いまだ低位の発展途上段階にある国に対しては、対外累積債務を膨らませるだけになるものと思われます。財務分析の結果、プロジェクトがフィージブルではないという結論を導出するように検討することを祈念します。以上@
六 現地第3日目
作業所へは前日と同じように、タクシーに分乗して行った。着くなり、トランスポート・エコノミストの中井が湿っぽい手で別れの握手を求めてきた。
「午後いちの便で帰ります。やっと、無罪放免です」
と広い額を脂汗でてかつかせて、目尻を下げて、晴れやかな顔をしている。
「きのういただいた名刺のメールアドレスで連絡が取れますか?」
と土岐は確認した。彼の報告書にはまだ疑問と思われる箇所がいくつかあった。
翌朝、
〈Kakusifile〉
から返信があった。
@首謀者の調査に外国人も含まれるかどうかというお問い合わせですが、日本人に限定して調査をお願いします。特に、プロジェクト・マネージャーの動向に注意してください。今回のプロジェクトは、日本の高度経済成長時代に成功をおさめ、バブル経済崩壊以降、我が国の累積債務を膨張させてきた公共投資産業をそのまま輸出する形になっています。こうしたプロジェクトがBRICsなどの新興経済に対するものであれば、それなりの意義はあると思われますが、いまだ低位の発展途上段階にある国に対しては、対外累積債務を膨らませるだけになるものと思われます。財務分析の結果、プロジェクトがフィージブルではないという結論を導出するように検討することを祈念します。以上@
六 現地第3日目
作業所へは前日と同じように、タクシーに分乗して行った。着くなり、トランスポート・エコノミストの中井が湿っぽい手で別れの握手を求めてきた。
「午後いちの便で帰ります。やっと、無罪放免です」
と広い額を脂汗でてかつかせて、目尻を下げて、晴れやかな顔をしている。
「きのういただいた名刺のメールアドレスで連絡が取れますか?」
と土岐は確認した。彼の報告書にはまだ疑問と思われる箇所がいくつかあった。


