フィジビリティスタディ

 新橋センターは歩道から少し奥に倉庫があった。背後を見上げるとゆりかもめのホームがある。良く見かける軽トラックが歩道と倉庫の間に一台、路面にもう1台停車していた。右奥に狭い事務室があり、引き戸が開け放たれて、入り口わきの机の上に送り状などの書類が散乱していた。その机の奥に細長いテーブルがあり、女性事務員が電話していた。配送の確認の電話のようだった。土岐は電話の終わるのを待った。
 電話が終わっても事務員は土岐の方を振り向かない。土岐は気づいていると思っている。事務員は忙しそうに伝票を整理している。土岐は仕方なく声をかけた。
「すいません。ちょっと、お尋ねしたいんですが・・・」
 事務員はちらりと土岐を見上げて、
「すこし、お待ちください」
と言って、作業をやめない。コンビニの従業員とは対応が天と地ほど違う。二、三分してやっと事務員の手がとまった。
「ええと、なんでしょう」
と言いながら、回転椅子を少しずらし、上半身だけ土岐の方を向く。
「この封筒なんですが、お問い合わせ番号で追跡したところ、このセンターが集配場所になっているんですけど、今日一日かけて、管内のコンビニに聞いて回ったんですが、どのコンビニでも投函された記録がないんですけど、こちらのセンターが集配場所となるコンビニは、港区以外にもあるんでしょうか」
「ほんとに全部まわったんですか?」
と女事務員はわざとらしく、目を丸くする。
「ええ、台場以外は・・・」
「それじゃ、そこかもしれないですね」
と素っ気なく言う。
「台場の配送物もこちらで集配するんですか?」
「あ、すいません、台場は、江東センターで集配されます」
 それを聞いて、土岐は合点がいった。いくら同じ港区といっても、東京湾の向こう側のコンビニの配送物を対岸の新橋で集配するのは合理的ではない。
(しかし、そうだとすると、この封筒はどこで投函されたのか?)
「すいません、ほかに投函するところはありませんか?」
 事務員は中年女性だった。遠目には若そうに見えたが、目元に深い小じわが寄っていた。
「あるとすれば、ここ」
「えっ、ここでも投函できるんですか?」
「あんまりないけど、ここでも受け付けていますよ。駅からも遠いし、人の流れもないんで、近所の人しか、来ないけど・・・」
「じゃあ、この封筒がそうだと確認できますか?」