フィジビリティスタディ

 店員は二人いた。一人はレジで、もう一人は弁当の棚を整理していた。土岐はレジに並んだ。前に二人いた。弁当の棚を整理していた男性店員がもう一つのレジに駆け寄り、
〈隣のレジにお願いします〉
という案内のボードを取り除き、
「こちらにどうぞ」
と列を作っている客に声をかけた。土岐の前に並んでいた二人の客のうち、後ろの一人がそちらのレジに向かった。土岐の前のレジの一人が会計をすませ、土岐は列の二人目になった。前の一人が、数点の商品をテーブルに並べた。土岐はレジの二人の店員を見比べた。列に並んでいるレジの店員は若い女性で、アルバイトのように見えた。もう一人の店員は中年男性で、この時間帯の責任者のように見えた。土岐は、そちらのレジに移動した。移動して間もなく前の客の会計が終わった。男性店員は土岐の手に商品のないのを確認して、
「おや」
というような顔をする。土岐は、低頭して聞く。
「すいません。ちょっと、お聞きしたいんですが、この封筒がこちらから配送されたかどうか、確認していただけますか?」
 土岐が差し出した封筒を受け取ると、店員はバーコードスキャナーをあてて、
「この店ではないですね」
と封筒を素早く土岐につき返す。
「どこの店か分かりませんか?」
と土岐が聞くと、店員はレジを閉じるボードを出しながら、
「さあ、わかりません」
と木で鼻を括るようにして、レジカウンターの外に出てきた。
 新橋駅の周辺の他のコンビニでも、同じような回答が返って来た。東新橋と西新橋を回り、次に土岐は虎ノ門から元赤坂と赤坂方面のコンビニに向かった。発送者が政治家と関係のある者であれば、永田町に隣接するコンビニを利用した可能性があると考えたからだ。それぞれのコンビニの間には五百メールほどの距離があった。一時間で四店舗ほど回ることができた。午前中で二〇店舗近く当たってみたが、どこも、
「この店ではないです」
という返答だった。土岐は少し疲れていた。休憩を兼ねて、六本木のファストフッド店で昼食をとることにした。