(ということは、竹内工務店の誰かが、kakusifileの送信者ということか?)
講演録の直接的な関係者としては、三橋大使と金井だが、三橋という名前については、土岐は聞き覚えがあった。電化プロジェクトの現地打ち上げを大使館で行ったとき、土岐は体調不良で欠席した。そこの大使が三橋という名前であったような気がした。さっそく、外務省のホームページで確認した。確かにS国の大使は三橋光夫だった。
終業時間をとっくに過ぎていた。福原が不審な目つきで土岐の方を見ている。土岐は疑問を抱えたままファイルをキャビネットに戻し、帰宅についた。中央線の電車に揺られながら講演録について反芻した。
(S国の三橋光夫大使は東亜クラブで三年前に講演していた。萩本専務理事と金井事務局長と同窓だった。とすれば、今回の国鉄電化プロジェクトについて、東亜クラブと三橋大使の間で何らかの情報交換があったとしても不思議ではない。kakusifileから受信したメール内容と三橋大使の講演録はほぼ同じ文面だ。講演録は会員企業百数十社に配付されていた。とすれば、その議事録を見た人間がkakusifileの送信者のはずだ。誰だ?10万円が入っていた封筒の竹内工務店の誰かか?ACIの丸山の話では、今回の国鉄電化プロジェクトを立案したのは経済産業省から現地大使館に出向している西原とのことだったが、そもそも発案したのは三橋大使ではなかったのか?三橋大使が西原を使って、プロジェクトを推進しようとした考えることもできる。そうであるとすれば、三橋大使にとってプロジェクトが流産したことは面白くないはずだ。そこで一等書記官の白石から、僕が東京政経大学の新設学科の教員として文科省の大学設置審議会で審査されているという情報を得て、同窓の文科省の官僚と同窓の大学教授の審議委員に働きかけて、業績が不足しているという理由で、僕を教員審査で否とするように画策したのか。金井は自分が大学教員になりたい一心でそれに協力した。萩本は東亜クラブを自分の子飼いで固め、居心地をさらに良くするために、僕を来年度から排除する計画を立てた)
とそこまで考えて、土岐はため息をついた。今更ながら自分自身に何の対抗手段もないことに思い至された。
講演録の直接的な関係者としては、三橋大使と金井だが、三橋という名前については、土岐は聞き覚えがあった。電化プロジェクトの現地打ち上げを大使館で行ったとき、土岐は体調不良で欠席した。そこの大使が三橋という名前であったような気がした。さっそく、外務省のホームページで確認した。確かにS国の大使は三橋光夫だった。
終業時間をとっくに過ぎていた。福原が不審な目つきで土岐の方を見ている。土岐は疑問を抱えたままファイルをキャビネットに戻し、帰宅についた。中央線の電車に揺られながら講演録について反芻した。
(S国の三橋光夫大使は東亜クラブで三年前に講演していた。萩本専務理事と金井事務局長と同窓だった。とすれば、今回の国鉄電化プロジェクトについて、東亜クラブと三橋大使の間で何らかの情報交換があったとしても不思議ではない。kakusifileから受信したメール内容と三橋大使の講演録はほぼ同じ文面だ。講演録は会員企業百数十社に配付されていた。とすれば、その議事録を見た人間がkakusifileの送信者のはずだ。誰だ?10万円が入っていた封筒の竹内工務店の誰かか?ACIの丸山の話では、今回の国鉄電化プロジェクトを立案したのは経済産業省から現地大使館に出向している西原とのことだったが、そもそも発案したのは三橋大使ではなかったのか?三橋大使が西原を使って、プロジェクトを推進しようとした考えることもできる。そうであるとすれば、三橋大使にとってプロジェクトが流産したことは面白くないはずだ。そこで一等書記官の白石から、僕が東京政経大学の新設学科の教員として文科省の大学設置審議会で審査されているという情報を得て、同窓の文科省の官僚と同窓の大学教授の審議委員に働きかけて、業績が不足しているという理由で、僕を教員審査で否とするように画策したのか。金井は自分が大学教員になりたい一心でそれに協力した。萩本は東亜クラブを自分の子飼いで固め、居心地をさらに良くするために、僕を来年度から排除する計画を立てた)
とそこまで考えて、土岐はため息をついた。今更ながら自分自身に何の対抗手段もないことに思い至された。


