「そうらしい。詳しいいきさつは聞いていないけど・・・」
「そうですか・・・」
「砂田君が相当落ち込んでいる。彼は君についてなにか誤解しているようなんで、しばらくは会わないほうがいいかもしれないね。今日はもう彼は帰ったから大丈夫だけど」
それですべてが分かったような気がした。土岐の体の中を得体のしれない不快な塊がどろどろに融けて駆け巡っているようだった。
帰宅の電車の中で、土岐の身辺に起きたことのすべては王谷の陰謀ではないかと疑った。報告書を精読し、分析したシュトゥーバが財務分析のまやかしを見破り、プロジェクトの中止を国鉄総裁に進言し、国鉄電化計画はストップしたのだろう。その結果、王谷の指示で、ACIと扶桑総合研究所のODAがらみの業務提携が頓挫し、扶桑総合研究所の土岐のポストが消えた。一方で、白石、西原、南田の国立大学マフィアのコネクションで、文部科学省か審議委員の大学教授に手を回し、新設学部申請の教員リストから土岐の名前を削除した。新設学科の件は、王谷には直接話していない。インド料理店でこの件を話した相手は、白石と丸山だった。おしゃべりな丸山がこの件を王谷に話したとすれば、王谷が文部科学省に直接手を回したのかもしれない。さらに外務省ルートで、萩本専務理事のかつての直属の部下が外務省からの出向であったことを利用し、その出向者を事務局長にねじ込み、ついでにその部下を研究員として引き連れてくることで、土岐を東亜クラブから追い出すことに成功した。しかし、ACIと扶桑総合研究所の業務提携が破談になったことは王谷の権限の範囲内であるから、当然であるとしても、文部科学省と経済産業省のルートには疑問が残る。そのルートを王谷が利用することの意味が分からない。王谷には何の利益もないはずだ。むしろ、そういう工作をしたとすれば、工作を依頼した王谷の方に、借りができる。借りを作ってまでして、そうするメリットが土岐には分からなかった。
(ぼくのようなしがない財団法人の薄給の一研究員を追い落とすことにどれほどの利益が王谷にあるのか?画策に要するコストのほうが大きいのではないか?ぼくの存在を不快に感じている専務理事自身の画策かもしれない。その画策に金井さんがまったく異議を唱えなかったとすれば、金井さん自身もぼくを面白くない存在と思っていたのかもしれない)
かつて、金井から、
「そうですか・・・」
「砂田君が相当落ち込んでいる。彼は君についてなにか誤解しているようなんで、しばらくは会わないほうがいいかもしれないね。今日はもう彼は帰ったから大丈夫だけど」
それですべてが分かったような気がした。土岐の体の中を得体のしれない不快な塊がどろどろに融けて駆け巡っているようだった。
帰宅の電車の中で、土岐の身辺に起きたことのすべては王谷の陰謀ではないかと疑った。報告書を精読し、分析したシュトゥーバが財務分析のまやかしを見破り、プロジェクトの中止を国鉄総裁に進言し、国鉄電化計画はストップしたのだろう。その結果、王谷の指示で、ACIと扶桑総合研究所のODAがらみの業務提携が頓挫し、扶桑総合研究所の土岐のポストが消えた。一方で、白石、西原、南田の国立大学マフィアのコネクションで、文部科学省か審議委員の大学教授に手を回し、新設学部申請の教員リストから土岐の名前を削除した。新設学科の件は、王谷には直接話していない。インド料理店でこの件を話した相手は、白石と丸山だった。おしゃべりな丸山がこの件を王谷に話したとすれば、王谷が文部科学省に直接手を回したのかもしれない。さらに外務省ルートで、萩本専務理事のかつての直属の部下が外務省からの出向であったことを利用し、その出向者を事務局長にねじ込み、ついでにその部下を研究員として引き連れてくることで、土岐を東亜クラブから追い出すことに成功した。しかし、ACIと扶桑総合研究所の業務提携が破談になったことは王谷の権限の範囲内であるから、当然であるとしても、文部科学省と経済産業省のルートには疑問が残る。そのルートを王谷が利用することの意味が分からない。王谷には何の利益もないはずだ。むしろ、そういう工作をしたとすれば、工作を依頼した王谷の方に、借りができる。借りを作ってまでして、そうするメリットが土岐には分からなかった。
(ぼくのようなしがない財団法人の薄給の一研究員を追い落とすことにどれほどの利益が王谷にあるのか?画策に要するコストのほうが大きいのではないか?ぼくの存在を不快に感じている専務理事自身の画策かもしれない。その画策に金井さんがまったく異議を唱えなかったとすれば、金井さん自身もぼくを面白くない存在と思っていたのかもしれない)
かつて、金井から、


