フィジビリティスタディ

という思いと、毎日テレビをしがみつくようにして見ている母の姿を哀れと感じる思いと、
(その思いを晴らすために何らかの行動を起こすことにどれほどの意味があるのか?)
という思いの間で、やじろべえのように揺れ動いていた。その意味付けに確固たる判断がつきかねていた。
(かりに行動を起こすとして何ができるか?丸山にアペンディクスの復活を申し入れるか?それによって丸山の立場を悪化させることになるかも知れない。扶桑総研とACIの今後の取引がなくなり、鈴村に迷惑をかけることになるかもしれない)
 土岐がアペンディックスの復活を申し入れたとしても、丸山には何もできないであろうことが想像できた。決定権を持っているのはおそらく王谷だろう。王谷が編者としての責任でアペンディクスを削除したのであれば、王谷の考えが変わらない限り、アペンディクスの復活はありえない。王谷は現地にいるときから、プロジェクトの推進にマイナスとなるような情報は記述しないようにとの指示を土岐に出していた。報告書はすでに扶桑物産の南田の手によって現地の国鉄省に提出されているであろうことが予想された。
 何をどうすればよいのか、思いつかない状態がその日の午後ずっと続いた。国鉄省の作業所で出会ったエンジニアの人々の顔が走馬灯に照らし出されて、頭の中を回転していた。これで仕方ないのではないかと思う次の瞬間、何かをしなければならないという思いが腹の底から沸き立った。
 終業時刻間際に、ウエッブ・メールを開けると、
〈Kakusifile〉
から作業報告に関する次の指示が入っていた。