フィジビリティスタディ

「それで、事後承諾で申し訳ないんですが、わたしの肩書きは扶桑総研の嘱託ということでよろしいでしょうか」
 そう言うと、金井は眉根をすこし寄せて、しばらく考えて、
「それは、扶桑総研の要望なの?」
と聞いてきた。
「いえ、ACIの要望です。扶桑総研が財務分析をしていることに意味があるとかで・・・」
「まあ、うちとしては、契約書通りお金が入ってくるのなら、とくに差し支えないですが・・・」
と言いながらも、右の眉毛をすこし吊り上げて、なんとなく釈然としない面持ちだった。
 翌週の月曜日、土岐の東亜クラブのアドレス宛に丸山から報告書全体の添付ファイルが送信されてきた。
〈土岐明様、出張ならびに報告書執筆ご苦労様でした。おかげさまで、予定通りに報告書が完成し、さきほど現地の扶桑物産の南田さんに送信したところです。ハードコピーは南田さんが製本して、国鉄省に提出することになっています。なお、同じものを添付ファイルとして送信しましたのでご確認ください。丸山憲一〉
 さっそく、添付ファイルを開いてみた。タイトルは、
〈Final Report for Consulting Engineering Services for Electrification of the Suburban Railway Network〉
となっていた。執筆責任者は、
〈Asian Consultants International in Association with Electric Consulting Co. Ltd. and Fuso Research Institute Co. Ltd.〉
となっていた。
 プリンターのインク切れと紙切れもあって、全部プリント・アウトするのに三十分以上もかかった。A4で四百ページを超える大部だった。とりあえず第8章の仕上がり具合をチェックしてみた。印刷はページが通し番号になり、フォントが変わっている以外は、土岐の草稿そのままだった。念のため、一ページずつ確認した。本文が終わり、最後のページをめくると、
〈Station Abbreviations〉