フィジビリティスタディ

「プレゼンテーションは一時間ぐらいですか?」
と土岐は手を休めた丸山に確認した。
「報告が三十分程度で、あとは質疑応答です。いまのところ、三時ごろからの予定です。・・・あっ、言うのを忘れていましたが、王谷さんが、あすの午前中に一回、予行演習してもらいたいと言うんですが、いかがですか?」
「大丈夫です。資料は今日中にできると思います」
「大変ですね。プレゼンテーションするのはあなた一人ですから、われわれエンジニアの話は国鉄総裁には分らないと思うんで、・・・どっちにしても、金銭的な結論が最も重要なんで・・・まあ、頑張ってください」
と丸山は慰労のことばを忘れない。
「国鉄総裁に聞かせるんですよね。表敬訪問もしていないけど、大丈夫ですか」
「それなら、王谷さんが、ここに来たときに、プロジェクト・チームを代表して行っているからいいと思います」
 広い作業所で、丸山と土岐の二人だけの作業が続いた。プレゼンテーション用の資料は五時前にほぼ完成した。そのことを、土岐が丸山に告げると、
「じゃあ、帰りますか」
と国産の腕時計を見ながら言う。彼の作業もほぼ終わったようだった。
 帰りのタクシーの中で、
「明日は、ホテルの玄関に十時前にお願いします」
と丸山が疲れきったような声で思い出したようにぽつんと言う。
「ずいぶん、遅いんですね」
「電信関係の連中、・・・松山さん、浜田さん、畠山さん、川野さんたちが、一足先に、プレゼンテーション終了次第、その足で空港に向かうんで、荷造りやら、荷物の整理やら、チェックアウトやらで時間が欲しいそうです」
「わたしも含めて、残りの人はあさって帰国ですか?」
「そうです。王谷さん、吉川さん、山田さん、高橋さん・・・総勢6名ですか。飛行機の予約の方は、けさコンファームしておきましたから・・・」
「そうですか。なにからなにまで、お世話になりました」
「いあや、まだ、あしたが残ってます。国鉄総裁には、南田さんと一緒に、ずいぶんと鼻薬を嗅がせましたけど、・・・」
と言いかけて、丸山は口をつぐんだ。しばらく、土岐の反応をうかがっているようだった。土岐は何も言わずに黙っていた。丸山は黙っていられなくなって、