と暗にアルコールの注文を断った。
「いや、紅茶かコーヒーか、どちらか、とうことで・・・」
と白石は土岐の受取り方に非のあるような口調で言う。
「ぼくは、ミルクティー・・・チャイで・・・」
と丸山がなんの屈託もなく速答した。
「じゃあ、わたしもミルクティーで・・・」
と土岐は丸山にならった。
「ものすごく甘いけどいいかな?」
と白石が土岐の無知を懸念するように念を押す。土岐は曖昧に首を縦に振った。白石は飲み物の注文をウエイターに告げると土岐に聞いてきた。
「改正されたプロジェクトの現在価値はいくらぐらい?」
「10%のインフレが30年程度続くと想定すればかろうじて百億円の赤字に収まります」
と言うと、白石は顎をしゃくりあげるようにして、すこし頭をかしげた。
「オペレーティング・エンジニアの山田さんは、オペレーション・コストの算出で、ラーニング・バイ・ドゥーイングを斟酌したんだろうか?」
「斟酌しているのかどうか、分かりませんが、ラーニング・バイ・ドゥーイングについての注記はありませんでした」
そこで、
「えっ?」
と言いたげに、片方の眉の端を鋭く吊り上げた丸山が質問した。
「ラーニング・バイ・ドゥーイングって何ですか?」
土岐は目で白石の許可を取って丸山に説明した。
「OJT・・・オン・ザ・ジョブ・トレーニングみたいなもんで、作業をすることによって能率が向上するというようなことです」
土岐の説明に白石は何の反応も示さなかった。興味がないのか、どうでもいいのか、彼はウエイターが運んでくるタンドリチキンに目を奪われていた。
各自の目の前に銀の大皿に乗った半身の小ぶりのタンドリチキンが出された。白石が手をつけるのを合図に土岐と丸山も香辛料にまみれたチキンの丸焼きにフォークを突き立てた。
「メンテナンス・コストとオペレーティング・コストには、それなりの節約が期待できるので、反映させてください。たぶん、山田さんは日本の感覚で、そういったコストを算定していると思うんですが、技術の向上やコストの節約を考慮しないというのは、この国の人々に対して失礼でもあるし、そもそも、わが国の援助精神にも合致していない」
援助精神と聞いて、丸山がタンドリチキンを毟り取る手を一瞬休め、白石の顔を見た。
「要請主義ということですか?」
「いや、紅茶かコーヒーか、どちらか、とうことで・・・」
と白石は土岐の受取り方に非のあるような口調で言う。
「ぼくは、ミルクティー・・・チャイで・・・」
と丸山がなんの屈託もなく速答した。
「じゃあ、わたしもミルクティーで・・・」
と土岐は丸山にならった。
「ものすごく甘いけどいいかな?」
と白石が土岐の無知を懸念するように念を押す。土岐は曖昧に首を縦に振った。白石は飲み物の注文をウエイターに告げると土岐に聞いてきた。
「改正されたプロジェクトの現在価値はいくらぐらい?」
「10%のインフレが30年程度続くと想定すればかろうじて百億円の赤字に収まります」
と言うと、白石は顎をしゃくりあげるようにして、すこし頭をかしげた。
「オペレーティング・エンジニアの山田さんは、オペレーション・コストの算出で、ラーニング・バイ・ドゥーイングを斟酌したんだろうか?」
「斟酌しているのかどうか、分かりませんが、ラーニング・バイ・ドゥーイングについての注記はありませんでした」
そこで、
「えっ?」
と言いたげに、片方の眉の端を鋭く吊り上げた丸山が質問した。
「ラーニング・バイ・ドゥーイングって何ですか?」
土岐は目で白石の許可を取って丸山に説明した。
「OJT・・・オン・ザ・ジョブ・トレーニングみたいなもんで、作業をすることによって能率が向上するというようなことです」
土岐の説明に白石は何の反応も示さなかった。興味がないのか、どうでもいいのか、彼はウエイターが運んでくるタンドリチキンに目を奪われていた。
各自の目の前に銀の大皿に乗った半身の小ぶりのタンドリチキンが出された。白石が手をつけるのを合図に土岐と丸山も香辛料にまみれたチキンの丸焼きにフォークを突き立てた。
「メンテナンス・コストとオペレーティング・コストには、それなりの節約が期待できるので、反映させてください。たぶん、山田さんは日本の感覚で、そういったコストを算定していると思うんですが、技術の向上やコストの節約を考慮しないというのは、この国の人々に対して失礼でもあるし、そもそも、わが国の援助精神にも合致していない」
援助精神と聞いて、丸山がタンドリチキンを毟り取る手を一瞬休め、白石の顔を見た。
「要請主義ということですか?」


