「要請?・・・よくわからないんですが、西原さんはこのフィージビリティ・スタディに対してどういう立場におられるんですか?わたしの理解では、わたしはACIのメンバーの一員として作業をしているつもりなんですが・・・ですから、王谷さんの要請ということであれば分かるんですが・・・」
「ああ、そういうことですか・・・それは、まあ、そうなんですけど・・・実質的に今回のプロジェクトの絵図を描いたのは西原さんで、それに扶桑物産の南田さんと一等書記官の白石さん、さらにはこの国の運輸大臣と国鉄総裁が乗っかったというかたちになっているんです。そもそも、この国の国鉄では誰も電化しようなんて考えていなかったんです。このプロジェクトが日本の政府系金融機関でODAの対象として採択されれば、西原さんも白石さんも南田さんもそれにうちの会社もみんな手柄になるんです。とくに、王谷さんは、このプロジェクトが採択されれば、うちの取締役就任の可能性が出てくるんで、必死です。このプロジェクトがおじゃんになれば、来年定年で、嘱託で残る道はあるけど、取締役と比べれば月とすっぽんで、・・・収入的にえらい違いですよ」
と語る丸山の話し方は、中年のおばさんのように、感情豊かで、言葉の端々に思いが込められている。言葉以上の情報が伝わってくるが、その信憑性については、なんとなく胡散臭さが感じられる。必要以上に誇張されているのではないかという疑惑が拭いきれない。そんなことを感じながら、土岐は漫然とデータの数値の上に目線を滑らせていた。
「ああ、そういうことですか・・・それは、まあ、そうなんですけど・・・実質的に今回のプロジェクトの絵図を描いたのは西原さんで、それに扶桑物産の南田さんと一等書記官の白石さん、さらにはこの国の運輸大臣と国鉄総裁が乗っかったというかたちになっているんです。そもそも、この国の国鉄では誰も電化しようなんて考えていなかったんです。このプロジェクトが日本の政府系金融機関でODAの対象として採択されれば、西原さんも白石さんも南田さんもそれにうちの会社もみんな手柄になるんです。とくに、王谷さんは、このプロジェクトが採択されれば、うちの取締役就任の可能性が出てくるんで、必死です。このプロジェクトがおじゃんになれば、来年定年で、嘱託で残る道はあるけど、取締役と比べれば月とすっぽんで、・・・収入的にえらい違いですよ」
と語る丸山の話し方は、中年のおばさんのように、感情豊かで、言葉の端々に思いが込められている。言葉以上の情報が伝わってくるが、その信憑性については、なんとなく胡散臭さが感じられる。必要以上に誇張されているのではないかという疑惑が拭いきれない。そんなことを感じながら、土岐は漫然とデータの数値の上に目線を滑らせていた。


