南田が勤務する扶桑物産の事務所は、ホテルから小型タクシーで十分ほどの距離だった。首都近郊の旧宗主国が建設した官庁街のはずれに、瀟洒な高級住宅街があった。殆どが高床の平屋で、二階建ては数えるほどしかない。扶桑物産の建物は、高級住宅街の入口近くに位置し、建物も事務所らしくなく、普通の住宅のような佇まいだった。邸宅というほどではないが、ヨーロッパ風の建物で、庭に面して出窓があり、安普請でないことは素人目にも分かった。
土岐の母が持たせてくれた下痢止めが効いたのか、到着するころには下腹もなんとか落ち着いてきた。
「体調のほう、・・・大丈夫ですか?」
とタクシーを降りるとき丸山がそう声を掛けてきた。いつもの穏やかな表情に戻っていた。土岐は、ノートパソコンを小脇に抱えて彼のうしろに従った。玄関の前庭は五十坪ほどの広さがあった。中央に点灯された常夜灯が立っていた。隣家との境界に熱帯植物の生垣があり、芝生が綺麗に刈り込まれていて、スコールのしずくが夕暮れの薄明かりにきらめいていた。
タクシー停車の気配を察知したらしく、影法師のような南田が玄関のドアを開けて待っていた。顔は良く見えなかったが、バミューダ・パンツで南田と分かった。
玄関右手に通された部屋はダイニングのようだった。背の高いいくつかの椅子が壁際に並べられ、大きな長い黒檀のテーブルの上に幾種類もの珍しそうな料理が山盛りになっていた。体調不良のせいで、土岐は料理には興味をそそられなかった。先着したメンバーがすでにそのテーブルを取り囲んで、談笑しながら、片手にグラスを持って飲食していた。年齢不詳の浅黒いメイドが、料理や飲み物を持って、奥のキッチンの間のドアから幾度も出入りしていた。ドアの奥に現地人のコックらしい人影が見えた。
土岐の母が持たせてくれた下痢止めが効いたのか、到着するころには下腹もなんとか落ち着いてきた。
「体調のほう、・・・大丈夫ですか?」
とタクシーを降りるとき丸山がそう声を掛けてきた。いつもの穏やかな表情に戻っていた。土岐は、ノートパソコンを小脇に抱えて彼のうしろに従った。玄関の前庭は五十坪ほどの広さがあった。中央に点灯された常夜灯が立っていた。隣家との境界に熱帯植物の生垣があり、芝生が綺麗に刈り込まれていて、スコールのしずくが夕暮れの薄明かりにきらめいていた。
タクシー停車の気配を察知したらしく、影法師のような南田が玄関のドアを開けて待っていた。顔は良く見えなかったが、バミューダ・パンツで南田と分かった。
玄関右手に通された部屋はダイニングのようだった。背の高いいくつかの椅子が壁際に並べられ、大きな長い黒檀のテーブルの上に幾種類もの珍しそうな料理が山盛りになっていた。体調不良のせいで、土岐は料理には興味をそそられなかった。先着したメンバーがすでにそのテーブルを取り囲んで、談笑しながら、片手にグラスを持って飲食していた。年齢不詳の浅黒いメイドが、料理や飲み物を持って、奥のキッチンの間のドアから幾度も出入りしていた。ドアの奥に現地人のコックらしい人影が見えた。


