誰かに聞かれたか不安になり、辺りを見渡す。幸い、誰もいないようだ。

 僕はなんてことを言ってしまったんだ。激しく後悔した。

 本当に辛いのは誰だろうか。考えるまでもなく木村先輩だ。僕が死にたいと思うことなど、精一杯生きている彼女に対する冒涜でしかない。命の尊さを学んだはずなのに、なにひとつ理解できていなかったことになる。