立海高校へ通う最終日
夕方のテニスコートで
仁王君が帰ったのを確認すると、部長が手招きをしてくれた

「何だい?改まって」

「しかも、仁王君が帰ってからだなんて」

「・・・っ」

「黒崎と同じ学年の奴は明日また聞かされると思うが
本人から、直接言いたいそうだよ」

「直接?」

「何だというのだ」

「皆に直接言いたかったのは
今月末の青学との練習試合。私は
皆の応援が出来ない」

「「!?」」

そう言った瞬間、テニス部のコート内にいる人間全員が
凍り付いてしまったように感じた

「親の都合で来週には、東京へ
引っ越すことになって、青学に行くことにしたの」

「また、急・・・な話だね」

「うん」

「何で、仁王に話さねぇんだよぃ」

「知ってるだろ?黒崎が仁王の事を好きな事くらい」

「だったらっ」

「転入したら、きっともう2度と、ここには帰ってこれない
仁王君にいつ会えるかなんて分からないのに
好きです。なんて言えないから・・・
仁王君には、黙っていて欲しい」

「だけどよ。月末には、分かっちまうだろうが」

「うん」