神奈川へ帰ってくると、家の前には人影があって

「え?」

シルエットからして仁王君なんだろうけど

「ど、して?」

「お前さんが学校を休むからじゃろ
何かあったんか?」

心配してくれたの?

「黒崎がおらんとテニス部も思うように動けておらん」

どういう事?

「大丈夫。明日からは、ちゃんと部活に顔を出すよ。
学校にも行く」

「そうか」

そう言って帰っていく仁王君の後ろ姿も
あと数回しか見られないことも
立海で仁王君と話が出来ることも
私のこの想いも、心の中に閉じ込めたまま
2度ということがないように

居られる限り、全部私の目に焼き付けて
最後の日に、笑顔でまたねっって言えるようにするから

「大丈夫か?月渚」

「うん」

家の中に入ると、物はすでに少しずつ新しい家に運び込んでいるらしく
ほぼない状態のこの家の中