「ああいう事はしょっちゅうあるんですか?」
「あれが初めてです。ダメですね、MyTuberなのにいざとなったら体が動かなくて……」
「仕方ないですよ、私も同じ立場だったら、そうなったと思います。気にしないでいいと思いますよ」
私がそういうと、彼はおもむろに右手をあげ、頭を掻こうと動く。その時、彼の右側にいた幽霊の1体にたまたま重なった。すると、幽霊がたちまち光を放ち、溶けていくように姿を消していく。何が起きたのか理解できなかった。
「そう言ってくれると嬉しいです。僕、次こそは声をあげられるようにします!」
「そ、その意気……です」
幽霊の多さと禍々しさに目がいっていて気が付かなかったが、彼の体は綺麗な紫のオーラを纏っていた。
初めて見る綺麗なオーラだ。
オーラも見える私にとって、紫というのは見慣れたオーラだ。この色のオーラはスピリチュアルな部分を持っていることが多く、霊媒師や超能力者などはこの色なのだ。そうかと気づく。あの幽霊は除霊されたのだ。直接見たことなくて、理解するのが遅れたが、これで合点がいく。そうなると、彼は除霊できるにも関わらず、霊を見ることが出来ないという、宝の持ち腐れという言葉が相応しい人物なのではなかろうか。
「あの、質問してもいいですか?」
「はい。何でもどうぞ」
「どこかの動画で言っているかもしれないんですけど、どうして、MyTuberになったんですか?」
「僕の母方の祖先が有名な超能力者だったんです」
彼はアフタヌーンティーの二段目にあるスコーンを取り食べ始めた。私もつられてスコーンを手に取る。味はチョコチップだった。美味しい。
「彼女は千里眼があって、村で行方不明になった人の捜索を協力していたんですが、それが大学教授の目にとまったらしいんです。色々な実験があったんですが、結果的にインチキだと結論付けられたらしくて……」
「そうだったんですか」
インチキと結論付けられてしまったということだけど、彼のオーラを視るとそうではなさそうだ。目に見えないものは信じられないのが人間の性ではある。
「小学生の時、祖先を調べて発表しようというのがあったんですよね。それで、僕は彼女の事を発表しました。インチキという部分は言わなかったんです。でも、今の時代はネットで何でも調べられちゃって、彼女がインチキだったというのが友達にすぐにひろまってしまったんです。それでイジメられちゃって。だからですかね、見返してやりたいって、どうせなら、祖先の名誉も挽回できるチャンスがあったらって。そんな単純な理由です。でも、ちょっと方向性ずれてきちゃって困っています」
「挽回出来ると思いますよ」
「えっ? 本当ですか?」
「はい。間違いないです」
このオーラがあればいつか本当の心霊現象に出会えるかもしれない。祖先の霊能力者だって何か立証できる機会が得られるだろう。そんな気がした。
「そんなに、はっきりと言ってくれた人初めてです」
彼はとても綺麗に笑った。女性ならば誰もがキュンとくるであろう可愛らしい笑顔だった。
「あれが初めてです。ダメですね、MyTuberなのにいざとなったら体が動かなくて……」
「仕方ないですよ、私も同じ立場だったら、そうなったと思います。気にしないでいいと思いますよ」
私がそういうと、彼はおもむろに右手をあげ、頭を掻こうと動く。その時、彼の右側にいた幽霊の1体にたまたま重なった。すると、幽霊がたちまち光を放ち、溶けていくように姿を消していく。何が起きたのか理解できなかった。
「そう言ってくれると嬉しいです。僕、次こそは声をあげられるようにします!」
「そ、その意気……です」
幽霊の多さと禍々しさに目がいっていて気が付かなかったが、彼の体は綺麗な紫のオーラを纏っていた。
初めて見る綺麗なオーラだ。
オーラも見える私にとって、紫というのは見慣れたオーラだ。この色のオーラはスピリチュアルな部分を持っていることが多く、霊媒師や超能力者などはこの色なのだ。そうかと気づく。あの幽霊は除霊されたのだ。直接見たことなくて、理解するのが遅れたが、これで合点がいく。そうなると、彼は除霊できるにも関わらず、霊を見ることが出来ないという、宝の持ち腐れという言葉が相応しい人物なのではなかろうか。
「あの、質問してもいいですか?」
「はい。何でもどうぞ」
「どこかの動画で言っているかもしれないんですけど、どうして、MyTuberになったんですか?」
「僕の母方の祖先が有名な超能力者だったんです」
彼はアフタヌーンティーの二段目にあるスコーンを取り食べ始めた。私もつられてスコーンを手に取る。味はチョコチップだった。美味しい。
「彼女は千里眼があって、村で行方不明になった人の捜索を協力していたんですが、それが大学教授の目にとまったらしいんです。色々な実験があったんですが、結果的にインチキだと結論付けられたらしくて……」
「そうだったんですか」
インチキと結論付けられてしまったということだけど、彼のオーラを視るとそうではなさそうだ。目に見えないものは信じられないのが人間の性ではある。
「小学生の時、祖先を調べて発表しようというのがあったんですよね。それで、僕は彼女の事を発表しました。インチキという部分は言わなかったんです。でも、今の時代はネットで何でも調べられちゃって、彼女がインチキだったというのが友達にすぐにひろまってしまったんです。それでイジメられちゃって。だからですかね、見返してやりたいって、どうせなら、祖先の名誉も挽回できるチャンスがあったらって。そんな単純な理由です。でも、ちょっと方向性ずれてきちゃって困っています」
「挽回出来ると思いますよ」
「えっ? 本当ですか?」
「はい。間違いないです」
このオーラがあればいつか本当の心霊現象に出会えるかもしれない。祖先の霊能力者だって何か立証できる機会が得られるだろう。そんな気がした。
「そんなに、はっきりと言ってくれた人初めてです」
彼はとても綺麗に笑った。女性ならば誰もがキュンとくるであろう可愛らしい笑顔だった。