二日後が経った。結論から言うが、このことは誰にも言わなかった。まあ、言ったところで特に変なことは起きないし。ただ、感じ方として、お互いにちょっとは意識していたのかもしれないけど。
 その日の授業中、僕のノートに何かを書いてくる瀧本さんがいた。
 一昨日、何読んでたの? と書かれた。
 僕は、湯川秀樹の旅人と書いた。
 あ、そうなんだ。湯川秀樹ってすごいよね。私も少し調べてみようかな。
 うん。いいと思うよ。平川先生っていう人がいるから、その先生にあってみたらどう?住所知ってるよ。
 じゃあ、今日行ってもいい?
 もちろん。案内するね。