「袴田スプラッシュ。」
　僕のストップを聞くわけもなく、博人は僕を掴んでくる。
「つーか、名前だっさ。」
　二年生の頃からの関係の博人はいつもこんな感じだ。
　チャイムとともに、先生が来たことを感じ、僕達は離れる。
「はい、それでは朝のHRを始めます。まず、席替えの話についてなのですが今から貼り付けるので各自移動して下さい。」
　小野川先生の優しい声が響く。僕達は移動を開始する。
　一番うしろの窓際の席だった。隣は、瀧本美羽さんという女子だった。
「よろしくね。」
「よろしくね。」
　正直喋ったことのない相手。でも、僕はしっかりと挨拶を返す。

　休憩時間、話したことのない瀧本さんが友達と楽しそうに喋っている姿が僕の目に入った。
「知ってる子？」
　博人が僕の視線に気づく。
「ううん、隣の席になった子。」
「そっか。」

　四時間目終了のチャイムが鳴る。
「それでは皆さん、気をつけて帰って下さい。」
　そして給食を食べ終わり、荷物をすべてランドセルにまとめる。
「じゃあな、徹也。論文見せろよ。」
　誠吾と博人の頼みを断る。運動部の2人はすぐに着替えに向かう。
　南校舎の一階の職員室へと向かう。
「四年一組天沢、科学室の鍵を借ります。」