手慣れた場所を指で指す。
「うん。じゃあ私はこれから読んでみようかな。」
「わかりやすいんじゃない?」
 先生が実験用具を持って戻ってくる。
「二人共、ちょっと来なさい。」
 僕達が向かうと、ボンというでかい音がした。爆発実験なのだ。
「家ではやっちゃだめだよ。これは昔ノーベルが発明したダイナマイトだ。もともと物を壊すために使われていたけど、いつしか戦争に使われるようになった。これを見たノーベルは大きく心を打たれたんだ。二人共、壊すことは大変だけど、心はすぐに壊れるんだ。これを忘れたらいけないよ。君が調べようとしている湯川秀樹もそんな事を言っていると思うよ。この本には。」
 先生が間を開けて言う。
「しっかりと読む責任はあるか?」
 瀧本さんに聞く。