十月だった。僕は蒸し暑さが残ったような、寒さが少し残ったようなそんなかんじの少し重い階段を登った。僕らの教室は一番上の階で、階段から一番離れていて、ついたときには息が上がっていた。四年一組。
今日から後期が始まる。四連休明けのみんなはなぜか休みボケのような様子だった。
僕の席はこの教室の一番前だ。
「よお、徹也。」
後ろの席の池上誠吾が話しかけてくる。
「よお、誠吾。」
誠吾と僕は幼稚園の頃から仲が良いので約6年間の関係だ。そして塾も一緒。
「徹也、ちょっと眠そうだな。」
袴田博人がこちらにくる。
「お前、ちょっと俺の技見せて眠気覚ましさせてやろうか?」
「いや、いいって。」