それから私と夏美は話すことがなくなり、夏休みに入った。
私と夏美は同じ吹奏楽部に入っていたから、学校がなくなっても、毎日会っていた。
しかし一言も話さない。
吹奏楽部では楽器が違うし、人数も多いから、あまり話す機会がない。
私達の部活は顧問が変わってから、強くなった。
だから、夏休みはコンクールに向けての練習で、毎日毎日先生に怒られて、上手くいかなくて泣いて、それでも頑張って。
の繰り返しで、正直、夏美のことを考える時間は無かった。
そして、その夏、私達は初めて地区大会代表を取り、関西大会金賞を手に入れた。

夏休み前日。
私は夏休みの宿題をしていなかった。
ずっと「宿題、終わった。」とお母さんに嘘をついていて、バレた。
私はすぐ嘘を言ってしまう。
直そうとしても無理なのだ。
そんな自分が嫌いで、自殺を何度考えた事か。
今回も私の嘘のせいでお母さんに辛い思いをさせてしまった。
私は、なんでこんなふうになってしまったんだろう。
つくづく、自分が嫌いだ。
そしてその時、「他に隠しているだろう」と言われて、つい夏美との事を話してしまった。
もう、私は人生を諦めかけていた。
そんな夏休みが終わった。