久しぶりに発した声は、私の嫌いなところを増やした。
それほど、汚い声だった。
「ごめんね、気づいてあげられなくて。
ごめんね。
嘘をつく事で梅雨は自分を守っていたんだね。
話してくれてありがとう。」夏美はぐしゃぐしゃになった顔で私に笑いかけた。
自分を守っていた、、、。
私は私を守るために誰かを傷つけていた。
そして、私のせいで傷ついた大切な人を見て、自分も傷ついていた。
また、そんな気持ちにも嘘を吐いていた。
私は自分にも嘘を吐いていたんだ。
「ほんとの私は、どれ?・・・・誰⁉︎
もう、分からない。
どうしたらいいの!
私は頑張った、必死に頑張った。
ただ、頑張った自分を褒めて欲しかっただけなのに。
ただ一つ、人より優れている事が欲しかった。
何をしても普通で、特別に出来ることなんてない。
どうすれば良かったの。
どんな子なら良い子なの?
私は、私は、どうすれば、認めてもらえたの。
どんな子なら、、」
「梅雨は頑張った。十分過ぎるぐらい頑張った。
私はそのままの梅雨がいい!
そのままの梅雨が好き!
いい子じゃなくていい。
私の知っている梅雨は、梅雨の演技だったとしても、全部が演技だなんて思わない!
綺麗なものを見て、綺麗と笑う梅雨も、
私が辛いときに、手を差しの出てくれる梅雨も、
勉強も運動も頑張ろうとしている梅雨も、
本を読んで楽そうな梅雨も、全部、梅雨だ!」
「私はそんな子じゃない。
演じてない自分なんて空っぽで、何もない。」
夏美は優しい。私は、夏美とは正反対だ。
「空っぽなら・・・空っぽなら、今から入れていけばいい!
何もないなら、今から増やしていけばいい。
何もないってことは、これから何にだって変えられるってことだよ‼︎」
「夏美はなんで、そんなに優しいの、私なんかのために、なんで⁉︎」
「そんなの、梅雨のことが好きだからに決まってるじゃん!
何分かりきったこと言ってんの」
あぁ、私はなんて素敵な友達を持ったのだろう。
夏美がいたら、私は何にでもなれる気がした。
「じゃあ、私はこれからどうしたらいいの?
どうやって入れるの?どうやって増やすの?」
「もぅ、質問が多いなぁ。」と夏美は笑う。
「好きになればいいんだよ。自分を
もっと、自分に自信を持って!
梅雨は十分素敵な子だよ!」
太陽の様に笑う夏美は、私が持っていた傘を一瞬で吹き飛ばした。