「えーっと…今、自分のことを“俺”って言わなかった?」

小祝は首を傾げた。

(しまった…!)

勢いだったとは言え、自分のことをすっかり忘れてしまっていた。

ミヒロこと宏美はすぐに頭を切り替えると、
「し、宍戸さんはそう思っているんじゃないかと思っているんです…」
と、言った。

「宍戸さんは、心美さんの幸せを願っていると思います。

そのためにも宍戸さんのことを忘れて、自分を幸せにすることが1番じゃないかと思っているんです。

それが宍戸さんにとっての供養になるんじゃないかと、あたしは思っています」

宏美はそう言うと、大山と小祝に視線を向けた。

「それはつまり、ミヒロちゃんが宍戸くんの気持ちを代弁したと言うことでいいのかな?」

そう言った小祝に、
「そうです」

宏美は首を縦に振ってうなずいた。