栞が加瀬くんをジロジロと眺める。
「加瀬くんの体操服ならギリギリ着れんのかなあ。加瀬くん色白でオハダがキレイだし、なんとなく清潔感だけはあるもんねえ。私は絶っっ対に無理だけど」
って言っといてから、今度は冨永くんを見て笑う。
「冨永くんは論外~」
「はあ? オレが不潔って言いたいワケ!?」
「そうじゃないけど、着れる気がしなーい」
「ひっでえ! オレ、スゲーかわいそう。とばっちり!」

ぎゃんぎゃん言い合いをはじめてしまったふたりを神妙な顔つきでじいっとみつめる加瀬くんは、冨永くんの言い分に何やらこくりこくりと頷いて共感している様子。

ふたりが騒いでくれたおかげで、なんとなく話題がはけてゆき、そのうちキンコーンて鳴り始めたチャイムにも救われて4人での会話は終了となった。

ああ、ヨカッタ。助かった。
なんとかピンチをのりきった。

次の授業の教科書を引っ張り出しつつ、私はコッソリと胸を撫で下ろしたのだった。