「!!!」

起きて早々、オレは悲鳴を飲み込みつつ思いっきり後ろにのけぞった。
てゆーのも、なぜかオレの顔のすぐ真下、すんげえ至近距離に小宮山の頭があったからなのだ。

よかった、叫ばなくて・・!

バクバクと暴れる胸をおさえつつ、オレはアホみたいに眠りこける大好きな女の子を眺めた。
髪の毛の隙間からちらりと見え隠れする桃色の耳たぶに、緩ーくひらいたぷっくりとした唇。柔らかそうなほっぺも、長いまつげも。彼女を彩るなにもかもがオレを惹きつけてやまない。

ああ、スキ。可愛くてたまらない。

吸い寄せられるように手が伸びそうになったところで、自分にはその資格がないのだということを思い出した。
すると、途端に彼女のことが恨めしくなる。
オレのこと気にも留めてくれないくせに、どーしてこんなふうに眠っちゃえるのだろうか、と。
だってオレの真下にいたよね?
オレら、あんなに近くで寝ててよかったの・・?

ーーーいいわけない。ダメにきまってる。己の立ち位置がモーレツに悲しい。

仕方がないから眠りこける小宮山に無言で念を送っておく。
頼むから。こーゆうのは絶対絶対、オレだけにして。
他の男と昼寝してほしくないし、寝顔なんかもってのほか。
そもそも大前提として、オレ以外のヨソの男をそう易々と信用してはならないのだ。

だってさ。こんなに紳士で、オマエに優しいオレですらーーー

ドキドキと心臓の音がやたら耳に響く。
自分の胸の音聞くだけで後ろめたい。

「・・・」

素早く周囲を見回してだーれもいないことを確かめてから、そおっと顔を倒して小宮山の顔をのぞきこんでみる。

うっわあ、寝顔みちゃったーーー!!