そして今、オレに背をむけてしゃがみこんでる小宮山は、たぶん財布の金を確認中。
「あー、やっぱ服買えるほどはナイか」
ガッカリして立ち上がった小宮山を正面から見てオレはギョッとした。
下着透けちゃってんじゃん、バカ!!
鼻血噴いてないか心配で思わず鼻をおさえちゃう。

やべえ。イカン。

あのスケスケをなんとかしなければ・・!!
とてもじゃないけど小宮山をあのままにはしておけない。

それでオレはホントに仕方なく。
嫌っっ々、体操服のことを持ち出したのだ。

「あのさ、オレ持ってるぜ。着替え・・」
「そーなの!? 早く言ってよ。お願い、それ貸して!」

小宮山が目を丸くして食いついてくんだけど、オレは一番重要なことをまだ彼女に伝えていない。すんげえ怖かったけれど、オレはただただ小宮山のために、勇気をふりしぼって口を開いた。

「あ、えっと。でもさあ、それ、今日オレが体育ん時に使ったヤツなんだわ。体操服と短パンね?・・オマエ、着れる?」
恐る恐るそう聞いたら、小宮山の顔がザッと曇った。
んで、「え」って言ったきり黙り込む。

「・・・」

ああ、オレってホント、バカ。
終わった。やらかした。
もう、今すぐ帰りたい。

眉間にシワよせて黙り込んでる小宮山は、たぶん、なんて言ってオレに断ればいいか考えてる。
体操服着れない理由。それと、オレが傷つかない上手い言い方を。