「なあ小宮山、今日は? 公園よれる?」
「ゴメン、今日はパス。殿山にお見舞いに行くんだ。おじさんがケガして入院してるの」

今日はおつかいだ。
仕事の忙しい両親に代わって、私がおじさんのお見舞いへ行く。
入院してるとはいってもおじさんはピンピンしてるらしく、元気なのはわかりきってるから形ばかりのお見舞いだ。

「なら、一緒に帰ろーぜ。殿山なら上りじゃん」
「うん。そーだね」

『条件も変えないし、遠慮もしない。このままで』って公園で約束して以来、加瀬くんは遠慮せずにあれこれと私を誘うようになった。
教室から並んで一緒に下校しても、今じゃもう誰もなんにも言わない。
ただし、相変わらずなーんも進展しないから、周囲からはフツーに友達扱いだ。