「これ食お、小宮山。手え出して?」
「あ、ウン」

いつものように私の手を取って、グミの袋を傾けたところで、いきなり加瀬くんがカチンコチンに固まった。
慌てて私の手を離すと、あっという間に手をひっこめてしまう。

「触ってゴメン! もうしない!」

チラチラと私の顔色を窺いながら、加瀬くんはグミの袋をビリッて真ん中から裂くと、それをポイと机に置いた。

「冨永も食っていーよ?」
「お、おう」

グミをつまむ3人の間に流れるなんとも言えない沈黙。
それに耐えられなくなった冨永くんがとうとう口を開いた。

「オマエ、なんであのイヤラシイ食い方やめたの?」
「は?」
「菓子の食い方! オマエ、小宮山の手、皿にしねーと食わなかったじゃねえか」
「・・そんなことしてたっけ。シラナイ」
なんてすっとぼけながらグミをつまむ加瀬くん。
「一体なんなの!? あーもう、ワケわからん」

んだけど、よーく考えてみればこれにはなんとなく心当たりがあった。
これってたぶん、私のせい。

***