オレは冷や汗をかきながら慌ててあの時の小宮山の様子を思い出してみたのだ。

結構長い時間、オレの腕の中にいた小宮山。
ただし嫌がられた記憶なんてまるでない。むしろ当たり前みたいにオレの腕の中におさまっていた彼女。
今までだってそう。新学期早々のチョコの件を除いて、オレは小宮山にイヤな顔されたことなんてひとっつもないのだ。思い出せる限りただの一度もない。
だから『大丈夫』って思ってた。許してもらえてるって。

だけど。

よくよく思い出してみれば、坂川でのアレは小宮山本人の意思じゃない。オレが抱きしめて動けなくしてたから。

んでオレはハッと思い出したのだ。
小宮山を抱きしめて彼女の首筋にオレが顔を埋めた時、彼女に『イヤっ』て胸を押されて逃げ出されてしまったことを。

「!!!」

手え握ったり、ちょこっと顔よせたりするくらいならセーフでも、あんなふうにガッツリ抱きしめたりするのは、もしかしたら彼女の生理的許容の限界を越えていたのかもしれない。
 
ーーーいやこれ、マジで有り得るわ。
ああ、寒い。なんだか血の気がひいていく。

「どしたの律。顔色スゲー悪いけど??」
「べべべ、別に」

急に自分が犯罪者かなにかのように思えてきて怖くなる。

「オ、オレーーーやっぱ田口と同じかもしんない・・」
「だからさっきからそー言ってんだろが」
「しばらく大人しくしとけ。んでもう小宮山になんもすんな」
「お、おう・・」

この『生理的に受けつけない男疑惑』は、オレのココロに大きな大きな影を落とした。

***