その2日後、あっという間に新しいバイトが決まった。
小宮山さんの代わりは経済学部の1年男子。餅のようにふっくりとした顔の、見るからに人の良さそうな男だった。
そいつと入れ替わりに小宮山さんはバイトを辞めた。シフトの関係で、オレは結局彼女には会えずじまい。
キャンパスでもいつのまにか彼女を見かけることがなくなった。

クリスマス前に、小宮山さんからLINEがきた。
引っ越したって。
おなかの赤ちゃんも順調らしい。

メッセージと一緒に、なぜかキラキラした夜景の写真が1枚送られてきた。
ーーーこれは、工場夜景??

『先輩、もう加瀬になったよ』

いつのまにか、小宮山さんは『小宮山さん』ではなくなっていた。
結局そのLINEが彼女との最後になった。

今更だけど。
オレはちょっと彼女が好きだった。
加瀬くんから奪ってオレのモノにしたいとか、そーゆうんじゃあなかったけれど。

できることなら、もう少しだけ。オレはまだ君と一緒にいたかった。

加瀬くんの浮気騒動があった時も、彼女の妊娠が発覚した時も、結局ずーっと彼のそばを離れなかった小宮山さんにガッカリしてたことはオレだけのヒミツだ。