アレはなんなの? 
キスなの? それとも会話なの?
だけどそのうち、本格的にスイッチが入り始めた加瀬にビビって、オレはその場を後にした。年甲斐もなくすげードギマギしながら。

そして逃げるように職員室に向かっている途中で、藤代先生に遭遇してしまったというワケ。

藤代先生が2組に現れる頃には、ふたりは何事もなかったかのような雰囲気を取り戻していた。
それ見て心底ホッとする。
あんなの早々人に見せていいモンじゃねえ。ああ、よかった。

で、オレはやっと思い当たった。
加瀬がロボコンで一泊したがってた彼女。あれは小宮山だったんだなって。

その数年後、卒業した加瀬がいきなり職員室に現れて、小宮山と結婚したいから就職の口利きしてくれって言い出した時。
色々無茶言う加瀬の背中を押してやったのは、あの日見たびっくりするくらいシアワセそうなふたりの姿を思い出してしまったからだと思うのだ。