なんだかんだ言いながら加瀬が小宮山を庇う。
話を聞けば、小宮山なりにそこそこ真面目にはやっているようだった。

「一応頑張ってんなら、まあいいか・・」

学び合うのはいいことだ。
小宮山だけじゃなく、加瀬の勉強にもなる。
「それにしても、オマエ親切だな。なんで小宮山の面倒見てやってんの?」
「だって小宮山の数学ひでーんだもん」
オレは加瀬の言葉に静かに同意した。
だよなあ。加瀬の言う通り小宮山の数学はホントに酷い。随分と教えがいがあるに違いない。

「んじゃ、もういい」
不正はナシとみなしてふたりを解放する。
「小宮山はもっと加瀬に教えてもらえ」
「ハイ」

並んで職員室を出ていくふたりを見て思った。
仲いいなあ、アイツら、って。