ふたりはすぐにやってきた。
まずは確実にアヤシイ小宮山の事情聴取を開始する。

「小宮山、これ自力でやったか?」
オレの向ける疑惑の眼差しにひるんだ小宮山の目が泳く。
「えーっと。わからなかったので加瀬くんに教えてもらいました」
「丸写しはダメだぞ? チョットは自分で考えたんだろーな」
そしたら加瀬が横から口を挟んでくる。
「先生、最近はあんまやってないよ、丸写し!」

助け舟かと思いきや、加瀬のポロリに小宮山が慌てる。
「わわわ、スミマセン! 前はたまーに・・んでも今はちゃんとやってます!」
「ウソつけ。ちゃんとやっててこんなソックリな解答になるわけねーだろ!」
ところが、小宮山のインチキを疑いまくるオレに加瀬が堂々と首を横にふった。
「違うよ。オレのとソックリなのは小宮山がほとんど全部わかんなかったからだよ」
「わからない?? これがほとんど全部!?」
「うん、そう。オレが教えたからオレと同じ答えになってる」

オレは思わず手元のプリントに視線を落とした。
これが?? いっこもわかんねーってゆうの・・??

「おいおい、それもまた大問題じゃねーか。オマエ、オレの授業マジメに聞いてるか!?」
「こっ、これでも頑張ってるんです・・!」
ギクリと背筋をのばした小宮山が加瀬の後ろに身体をスライドさせる。
「そうだよ、先生。マジメにはやってんだよ。できねーだけで」